蛹が蝶になるとき 〜変化の瞬間に立ち会うということ〜

sakura

子どもの頃、私は昆虫の観察が大好きでした。
鈴虫やカブトムシを虫ケースに入れて、毎日のように眺めては飽きることなくその小さな命の営みに心を奪われていたものです。
鈴虫の鳴き声に耳をすませたり、カブトムシの幼虫を育てることも楽しみのひとつでした。

でも、いつの間にか大人になるにつれて、そんな小さな喜びからは遠ざかっていました。

最近、ある友人がサナギを育てて蝶になるまでの様子を毎日報告してくれるようになり、私はふと、あの頃のワクワクした気持ちを思い出しました。
彼女は幼虫を採取するところから、羽化するまでの過程を写真や動画に記録していて、その中には「蝶になる瞬間」を捉えた貴重な動画もありました。

サナギは、まるで古い洋服を一枚ずつ脱いでいくように、時間をかけて少しずつ姿を変えていきます。
そして、すぐに羽を広げるのではなく、じっくりと乾かしながら、静かに、美しくその羽を広げていくのです。

その姿はまさに芸術品。
完全なシンメトリーの模様が織りなす羽には気品が漂い、自然が創り出す美にただただ見惚れてしまいました。

そしてふと思ったのです。
これは、私たち人間にも訪れる「変容の時」の象徴なのではないかと。

この友人も、今まさに大きな変化の時を迎えています。
長年勤めた職場を離れる決断をし、新しい道を歩もうとしている彼女。
そんな彼女にぴったりのタイミングで引いたカードは《ワンドのエース》でした。

カードに描かれていたのは、まさに羽を広げる蝶の姿。
「目覚ましい復活」「潜在能力の開花」「始まりのとき」「飛び立つとき」――
そんな前向きなメッセージが込められた一枚でした。

カードは、いつも驚くほど正確に、必要なメッセージを届けてくれます。
まるで、魂の奥深くにそっと触れてくるような、そんな優しいパートナーです。

人はいつでも変わることができる。
美しい蝶のように、古い考え方やしがらみを脱ぎ捨て、軽やかに飛び立つことができる。

私は、そんな「変化のタイミング」に立ち会えたことに、静かな感動を覚えています。
それは、自然の中にある一つの命の営みと、人の人生の節目が重なり合う、美しい瞬間でした。

ABOUT ME
さくら
さくら
助産師/セラピスト
助産師として、いのちの声と心のさざめきに耳をすませてきました。
流産・死産を経験された方へのグリーフケア、 赤ちゃんを迎える心の準備、
幼い日の自分をそっと抱きしめる癒しの旅

「ここにいるよ」と、やさしい記憶と未来を結ぶ場所で、 光の糸を手繰り寄せています。
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