泣き止まない赤ちゃんとパパの涙―家族で育児を楽しむために

パパの涙
「赤ちゃんが泣き止まない」という相談を受けたのは、ある日の夕方でした。
電話越しのパパの声は切羽詰まっていて、
「僕が抱っこすると泣き止まないんです。どうしたらいいか分からなくて……」
という言葉に、彼の不安と焦りが滲んでいました。
生後2か月の赤ちゃんは、とてもよく泣く子でした。
実際に会って話を聞くと、ママは「私しか抱っこできないのが本当に辛い」
と打ち明けてくれました。
昨夜も、赤ちゃんの泣き声をきっかけに夫婦で言い合いになり、
ママは「こんな状況、もう耐えられない。実家に帰りたい」と口にしてしまったそうです。
赤ちゃんを抱っこしてみるようにパパにお願いすると、
その腕にはガチガチの緊張が伝わってきました。赤ちゃんもその緊張を敏感に感じ取り、
ますます泣き声が大きくなります。
そこで、力を抜いて赤ちゃんを支えるコツや、
心地よいポジションを丁寧にお伝えしました。
すると、泣き続けていた赤ちゃんがピタリと泣き止み、
周囲をキョロキョロと見回し始めました。驚いた表情のパパに、
「赤ちゃんも、パパの抱っこに少しずつ慣れていきますよ」
と伝えると、彼の目には涙が浮かんでいました。その涙には、
自分も赤ちゃんを安心させられるんだという安堵と、
少しの自信が含まれていたように思います。
赤ちゃんが「ママじゃないと泣く」という状況は、ママにとっても大きな負担です。
一方で、不器用ながらも頑張っているパパにとって、
それは辛い経験になることもあります。
でも、赤ちゃんが成長していくように、ママとパパも少しずつ育児に慣れ、
家族として成長していけるものです。

泣き止ませることが育児の目的ではありません。
泣き声も、困った顔も、そして笑顔も含めて、
赤ちゃんと過ごすこの時間そのものを家族で楽しむことが、
本当の目的なのかもしれません。
もし、育児が苦しく感じたら、
「完璧でなくてもいい」「少しずつでいい」
と自分に優しくしてあげてください。
そして、夫婦で一緒に試行錯誤しながら、
家族みんなで成長していくことを楽しんでみてください。
きっとその先には、今では想像もできないくらい素敵な家族の時間が待っていますよ。