いのちの営み

命の誕生に立ち会うということ。〜「頑張った自分を褒めてあげたい」という声が教えてくれたこと〜

sakura

こんにちは! 私は普段、妊娠・出産・育児に関わるお仕事をしています。
お産のお手伝いをしたり、妊娠中や育児のお悩み相談に乗ったりと、
日々たくさんの方と接しています。

今回は、お産の現場で心震える瞬間に立ち会ったので、そのお話をしたいと思います。

お産は十人十色のドラマ

出産は、妊娠期間のクライマックス。もうすぐ赤ちゃんに会える!という、
まさに感動的な瞬間ですよね。
10人の妊婦さんがいれば、10通りの違うお産があり、違うストーリーが展開されます。
私は毎回、その一つ一つに様々な経験と感動をもらっています。

今日お話ししたいのは、初めての出産をされたお母さんのことです。
初産は一般的に時間がかかることが多いのですが、彼女のお産もゆっくりと進行しました。
赤ちゃんに会える瞬間まで、陣痛という子宮収縮の波を何度も乗り越えなければなりません。

最近はコロナも落ち着き、立ち会い分娩が再開されたことで、
旦那様と一緒に陣痛を乗り越えるご夫婦も増えました。
今回のお母さんも、長い時間をかけて大変な陣痛を乗り越え、無事に元気な赤ちゃんを出産されました。

「おめでとう!」のその先で

赤ちゃんが生まれると、私たち助産師や看護師、医師、そしてご家族、この場合は旦那様が、「おめでとうございます!」と心からの祝福と労いの言葉をかけますよね。

「おめでとうございます!大変でしたね、よく頑張りましたね!」という言葉は、
分娩室でよく耳にする言葉です。

しかし、今回の出産を終えたお母さんは、出産の直後、
**「よく頑張った自分を褒めてあげたい」**と、とても誇らしげに言われたのです。

お産を終えたお母さんたちは、もしかしたら心の中で同じ言葉を
自分に語りかけているのかもしれません。
でも、普段の生活の中で、この言葉を声に出して自分に言っている人は
少ないのではないでしょうか。

この言葉は、本当に大切だと私は思うのです。

なぜ、「自分を褒める」ことが大切なのか

この出産の主役は、他の誰でもない、お母さん自身です。

私たちは大人になると、人から褒められる機会がぐっと少なくなりますよね。
子どもの頃は、親や先生にたくさん褒められた経験があったのではないでしょうか。
褒められると無条件に嬉しくて、「自分はやれるんだ!」という自己肯定感に
つながった記憶が、私にもあります。

人生における大きなミッションの一つである「命を生み出す」ということを
無事にやり遂げた自分自身を、自分で褒めてあげることは、自分への大きなエールになります。そして、それが自己信頼感や自己肯定感を高めていくことにつながるのです。

これから始まる赤ちゃんとの生活では、喜びと同じくらい、
困難や戸惑いもあるかもしれません。


そんな時こそ、小さなことでも「よくやってるね、私」と
自分に声をかけてあげてほしいなと思います。

「夜泣きに付き合ってあげた私、えらい」
「ごはん作った、ちゃんと片付けまでできた私、すごい」
「今日はお風呂入るのがやっとだったけど、それでも頑張ったね」

こんなふうに、いつも頑張っている自分をぎゅっとハグして「ありがとう」「よくできたね」と伝えてあげましょう。

「よく頑張ったね」と自分にハグを

これは、出産を経験したお母さんたちだけでなく、私たちみんなに必要なことだと、
今回のお母さんの言葉から改めて気づかせてもらいました。

ABOUT ME
さくら
さくら
助産師/セラピスト
助産師として、いのちの声と心のさざめきに耳をすませてきました。
流産・死産を経験された方へのグリーフケア、 赤ちゃんを迎える心の準備、
幼い日の自分をそっと抱きしめる癒しの旅

「ここにいるよ」と、やさしい記憶と未来を結ぶ場所で、 光の糸を手繰り寄せています。
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